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アマチュア無線に関する規制緩和?

どういう立場から緩和するのかが問題なのだが。

 こんな意見を目にしたのでちょっとだけ考えてみました。読後3秒で破綻点を見つけてしまってアレなんですが…。運転免許を引き合いに出してしまったのが敗因でしょう。

 大方の人はご存知のとおり、原付免許はペーパーテストだけで取得できます。普通自動車免許にはもれなく付いてきます。法律上の最高速度は30km/hですし、少なくとも1990年代以降の車両についてはハードウェア的に60km/h以上出ないよう制限されています(低速性能を犠牲にするとか騒音問題を無視するなどすればもっと出るようにすることはさほど難しい問題ではありません)。でも、その30km/hでも人を立派に殺傷する能力は備えています。確かに普通自動車免許を取得するには実技試験が必要ですが、二輪車とは要求される運転技術に大きな違いのあるのもまた事実です。公道に出てしまえば無免許で乗れる自転車ですら車両の一員としての自覚を持って運転されなければならないのが本当のところなのですが、現実は…。

 恐らくは、(現実を理解する能力も意識もない)お役人様のお考えでは「二輪より四輪の方が偉い」「四輪を運転できれば二輪なんて簡単」「自転車くらいみんな乗ってるだろうから実技試験までしなくていいだろう」てなところなのでしょうが、自転車に乗れない人が原付免許を取って走り回っているという例は別に珍しくありません。クラッチ操作がなければ、実は自転車よりバイクの方が乗れるようになるのは簡単です。クラッチ操作があっても、まあ同程度ってところでしょう。お役人様によく使われる接頭辞に「日本の優秀な」ってのがありますが、まあ定型業務に限って言えば正しいかもしれません。

 さて、これを無線に置き換えるとどうなるか。実のところ、アマチュアの初級資格と上級資格とではやっている事に大差はありません。今やモールス符号の解読だって、PCの有り余る処理能力を駆使すればそう難しいことではないでしょう。むしろ(当人達は味のあると主張する)機械で解読できないような符号を送るような方々が下手なだけと認識される可能性もあります。運転免許にAT限定が許されるなら肉声でやり取りする電波形式以外全て機械任せが前提の無線免許があってもいいと考える人がいても、私には別段不思議ではありません。これまた運転免許と同じですが、資格の上下と運用技術の良し悪し、機械的な技術のレベルにはあまり相関がありません。極論すれば、違いは高出力を合法的にやっているか違法でやっているかくらい。資格制コールサインを強制的に導入すれば「4アマで大したアンテナもないくせにやたら強い」と言われる局が多数出る一方、「1級のくせにヘボいオペ」と言われる局もそれなりに出るでしょう(絶対数が少ないので「それなり」なだけで、比率は…?)。

 してみると、こちらの意見には「言わんとされている主旨はわかるが、自分の資格が電話級(現第四級)であることを無視しても賛成しがたい」のです。資格と能力との間にさほどの相関が認められない以上、短波帯から4アマを追い出すべき論拠にはなりにくいですし(国際法規上の論拠に頼るか?)、オーバーパワーについても同様。「高出力送信はしかるべき知識と問題解決の技術的能力を有すると客観的に認められるもののみに付与されるべきである。」という主張はそっくりそのまま上級資格者にも返ってくる事を認識していらっしゃることを祈ります。

 ええ、送信出力なんて10Wもあれば普通十分でしょ?

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コメント

参考までにアマチュア無線免許制度についての私案を。

(1)現行制度の「アマチュア無線技士」は「アマチュア無線通信士」とし、操作範囲・試験内容等は現行のままとする。今後の新規開局は社団局のみ、既設局は再免許のみとする。
(2)「アマチュア無線技術士」を新設する。従事者免許と包括制局免許の連動制とし、有効期限毎に一定の試験を含む更新手続きを必要とする。コールサインは資格別とし、複数資格を取得した場合でも全てのコールサインは同時に有効とするが、操作範囲は使用するコールサインに連動するものとする。
(2a)第一級アマチュア無線技術士
 操作範囲は第一級アマチュア無線技士相当。モールス符号の(送)受信試験を含む。アマチュア無線以外の無線通信技術についても相当の知識を有し、下位資格の指導・監督が出来る。コールサインはサフィックス2文字で有効期間5年。
(2b)第二級アマチュア無線技術士
 操作範囲は第二級アマチュア無線技士相当(送信出力上限100~200W)。モールス符号の(送)受信試験を含む。アマチュア無線における高度な専門能力を有し、下位資格の指導が出来る。コールサインはJ*n+サフィックス3文字で有効期間5年。
(2c)第三級アマチュア無線技術士
 操作範囲は第三級アマチュア無線技士相当(送信出力上限25~50W)。モールス符号の送信を自身では行えない(タイプライタ式キーボードによるものは可)。試験内容にモールス符号の知識を含む。アマチュア無線における応用的な能力を有する。コールサインは8Jn+サフィックス3文字で有効期間5年。
(2d)第四級アマチュア無線技術士
 操作範囲は21~1200MHzのアマチュア無線バンド(送信出力上限10W)で、技適適合設備のみ使用可能。上位資格者の指導を受ける場合には第三級相当の運用を行える。アマチュア無線における基礎的な能力を有する。コールサインはサフィックス4文字で有効期間1~2年。

 第一級アマチュア無線技術士はアマチュア無線における指導者資格兼一般に対する技術普及者としてレベルを大幅に高く取る(代わりに包括免許でほぼやり放題)、現行の一、二級は技術士のほぼ二級、三級はほぼ同じ、四級はその気があれば三級技術士にステップアップしやすく。四級技術士は運転免許で言えば仮免相当。送信出力はだいたい4~5倍(6~7dB)程度の差がつくように設定した。
 通信士のままでも既設局の維持はできるが、何か新しい事をするためには技術士を目指す必要がある。新たに通信士資格を取ることも出来るが、既設局のゲストオペレータまたは社団局の構成員としての運用しか出来ない(個人局の開設要件を満たせない為に技術士資格を取れない人はこの方法で運用することになる)。また、技士から対応する技術士への無条件移行や試験での科目免除等は行わない。

 …このくらいやらないとアマチュア無線のレベル向上はないと思っています。通信士は再免許しか出来ないとしたのが一応救済措置のつもりです。本当はこれでも第一級技術士の恩典が足りないかと思うんですが、通信士資格からの移行を促しつつより上位の技術士資格を目指すに足るバランスを考えるとこの辺が現行法ベースを前提にした私案の限界でしょう。

投稿: Mn | 2004/11/30 01:57

こんばんは、はじめまして・・・

>資格と能力との間にさほどの相関が認められない以上

 確かに、アマチュア無線の現状では、そういう面も否定できない部分があると思います。

>短波帯から4アマを追い出すべき論拠にはなりにくいですし・・・

 ここには、かなりの疑問を覚えずにはいられません。国際的にアマチュア無線の試験制度を比較すれば比較するほど、(モールスの技能証明の必要性が世界的に撤廃されようとしている今日でも)4アマは「HF帯のみならず、全ての通信において日本国内で完結する通信だけを許可すべき資格である」としか考えられなくなってしまうのです。

>(国際法規上の論拠に頼るか?)

 まさしく、その通りです。ただし、モールスうんぬんではないので、もとの話の筋から外れて申し訳ないのですが・・・
 4アマの法規試験には、3アマ以上には必須の「国際電気通信(ITU)憲章・同条約・同無線通信規則」の試験がありません。国内通信には国内の約束事である電波法令の知識が要求されるのは当然ですが、国際通信には国内法規だけでなく国際的な約束事であるITU関連法規の知識も不可欠だと思われます(ほとんどの部分で国内法令がITU関連法規と同趣旨の定めをおいているので問題が具現化しずらいことは確かですが・・・国内法令ではカバーし切れないものもあります)。

 WRC03ではモールス技能の必要性の判断を各国の主官庁に委ねる趣旨の無線通信規則の改正がありました。モールス自体は通信手段であり、世界的風潮から見ても、オペレータの操作範囲とモールス技能の有無・熟練性が関連付けられる必要性はかつてより低下していることは確かだと思います。また無線機器の管理能力も、メーカー製主流の今日にあっては上級と初級の区別が合理性を失いつつあるという意見も傾聴の価値はあると思います。
 しかし「アマチュア衛星」「エコーリンク(VoIP)」などをはじめとする「技術の進歩」により、HF帯以外の周波数で、しかも小電力の電波でも国際通信を行える機会は確実に増えています。言い直すと、我々アマチュア無線家は「たとえVHF以上でも、自分の発射した電波が容易に海外まで飛ぶ可能性がある」ということを再認識しなければならない時期に来ていると思うのです。
 国際電気通信連合(ITU)もこのことを強く認識しているようで、WRC03の機会に決定された「ITU-RM.1544」という決議によって、アマチュア無線運用のための能力の基準として「憲章・条約・無線通信規則」の知識を問うことが明文で義務付けられるに至っています(この要件の適用範囲は、HF帯のみならず全てに及びます)。
 【詳しくは⇒http://www.dx.ardi.lv/M1544.html(英文)】

 ここから考えると、4アマも「日本の国内法規では国際通信を禁止されていない」し、また「操作範囲に含まれる周波数帯は、どう考えても国際通信が可能」なのですから、「実際上国際通信が可能な4アマ」の試験に「国際法規」が無いのは不自然だと思います。旧電信級が3アマになった経緯を考えると、既存の4アマ保有者に追加試験をする必要性までは感じませんが(従って、今までに4アマを取得された方は、従来通りの操作範囲でよいと思います)、せめて、これから行う4アマの試験には「国際法規」を追加して欲しいと思うのですが・・・。
 

投稿: 通りすがり | 2006/07/28 21:11

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