…なんちゃって社会派モード。
最近新聞の意見広告などで「男女で1票の価値が差別されていたら大変ですね?でも住所では差別があるんです」とやっているのを見かけます。現在参議院の選挙区選挙分で最大約5倍の格差があって、違憲判決も出ていますが。
そこで大学院生の試算を基に都道府県をまたぐ区割りを行えば十分小さく抑えられるとかいろいろ主張されているのはいいんですが、アメリカ連邦下院の場合で1:0.993の格差を違憲としたとか書いちゃまずいでしょう。
…アメリカ連邦上院はどうだっけ、と突っ込まれる訳で。
ご存じの通り、アメリカ連邦上院議員は各州から二人ずつ、総定員100人というシステムです。ちなみに人口最多のニューヨーク州と最少のネバダ州とで人口差は約19倍あります。どちらも二人ずつ選出するので当然1票の格差も約19倍ある訳ですが、もちろん違憲ではありません。(同じ事を日本でやると東京と鳥取で約21倍の差になりますが、19倍がOKで21倍はNGと言える根拠はありませんね。)人口(比)だけで全部を決めてしまわない上院下院の相互牽制の仕組みは日本の衆議院参議院にも取り入れられている訳で、その辺の背景を無視した論議には正直言って賛同できません。現時点では衆議院でも最大格差が2倍前後あるので、これをもっとマシなレベルにするべきだって事でしたら大いに賛同いたしますが。両院とも人口比に忠実な定員構成にすると、以下のような事が簡単に出来てしまいます。
東京:東京のごみが処理しきれないので、長野に全部引き受けさせたいでーす。
その他:はんたーい。
東京:じゃあ、千葉と埼玉と神奈川と静岡と愛知とで共同使用って事で。
千葉・埼玉・神奈川・静岡・愛知:さんせー。
東京:そうだ、琵琶湖の水は全部大阪と兵庫のものって事で。
大阪・兵庫:さんせー。
東京:佐賀の水は福岡のものにしますよ。
福岡:じゃあさんせー。
東京:採決取りまーす。賛成多数で可決でーす。
東京・千葉・埼玉・神奈川・静岡・愛知・大阪・兵庫・福岡:ばんざーい。
その他:横暴だ!
人口比だけでやると上記9都府県で人口の半数を超えるんですよね(第7位は北海道)。同じ議員定数比で二院制にしてもチェック機能は十分働かないので、それなら解散時に1/10くらいの議員を残して非常時に備え、選挙終了後全議員が入れ替わるって事でいい訳です。
個人的には議員定数の割り振りは有権者人口ではなく日本国籍を持つ全人口に過去10~12年分の国政選挙の平均投票率を乗じた数値をベースにするべきではないかと考えています。未成年者の多い地域の権利は軽くていいのか(むしろ少子化社会においてはこの層が重要なんじゃないか)という考えと、行使されない権利は相応の扱いでいいのではないかという考えに依ります。投票率はとりあえず無視して考えると、衆議院を総数480人くらいとするとだいたい人口27万人に1人代表を出せば格差はほぼ1.5倍以内に収まります(人口67万人くらいのラインで2人の県と3人の県が出来て一番格差が出る計算になるのだが都道府県単位の人口ではなぜかこの付近が空白で実際にはもう少し小さめに収まりそうではある)。で、臨時国会で内閣を選出する前に最新の人口動態に基づいて定数改定を義務付ければ宜しい(定数の有効期限を次回選挙終了までとし、決めないと歳費も出ず解散も行えないようにしておく)。参議院は都道府県毎に3人ずつで固定(総数141人、2年毎に1人ずつ改選)。衆参合わせて最多の東京都が51~52人、最少の鳥取県で5人。人口比だけで見ればまだ格差が2倍くらいありますが、予算案などの議決についての優越権などを考慮すれば今よりは実効格差はかなり減ると考えます。
自分の案がベストだなどとは夢にも思っていませんが、格差とコストとのバランスは悪くないんじゃないかと考えています。どさくさに紛れて?国会議員は100人ほど削減してますし。
そう言えば、選挙区と比例代表の1人2票もどうかと思うけど重複立候補で復活当選なんて制度はかなり重大な問題があるという認識です。それならいっそどの選挙区の候補に投票しても良いマイナス1票もセットにして1+1-1=1人1票(マイナスを含む全ての票が有効票でないと全部無効票とする)システムをやって欲しいですな。比例代表もやるなら参議院だけ全国1区にして、重複立候補無しで比例代表30×3+選挙区47×3(2年毎1/3改選・総数231)とするか、比例代表70×2+選挙区47×2(3年毎1/2改選・総数234)とするか。しかし参議院は定数をぎりぎりまで減らして一人あたりの権限と責任を大きくする方が良いと考えますので、比例代表25×2+選挙区47×2(3年毎1/2改選・総数144)くらいか。
…という訳で、個人的な現段階の結論は次の通り。
・定数は(有権者人口ではなく)日本国籍を持つ全人口×過去12年分の国政選挙平均投票率を基に配分(補正人口)
・衆議院は定数480人前後(±2人で格差が最小になるよう調整)都道府県毎の補正人口に比例配分
・参議院は定数144人、都道府県単位選挙区各1人+比例代表全国区25人を3年毎の改選で選出
法の下の平等、即ち人口に完全比例じゃないと思うんですけどね。こう言っちゃなんだけど、どうしてそこに県境があるか考えないから(田舎だけ)県境を跨ぐ選挙区区割りを考えられる訳で、机上の空論としか評価のしようがない。それなら東京都千代田区と島根県太田市を合わせて一つの選挙区とかやればいいんだ。
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